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AMH (抗ミュラー管ホルモン)検査

AMH (Ant-Mullerian Hormone)とは?

子宮の機能,AMH検査
AMH(抗ミュラー管ホルモン)とは、Ant-Mullerian Hormone(アンチ ミュレーリアンホルモン)のことで、卵巣内にある発育過程の卵胞(前胞状卵胞)から分泌されるホルモンで、月経周期には依存しないため、採血によりいつでも測定可能です。
血中のAMH値は、卵巣内に卵子がどれくらいあるのか(卵巣予備能)を反映すると考えられています。

AMH値で卵巣予備能がわかる理由

卵巣は卵子を保存している臓器です。射精後には毎回新しい精子をつくる精巣と違い、卵巣は胎児期に「原子卵胞(卵子の元となる細胞)」という形で卵子が卵巣内に作られると、その数は増えることはなく減少していきます。胎児期に女性は、約600~700万個の原子卵胞がありますが、この原子卵胞は出生時には200万個ほどに減少しています。さらに思春期になると原子卵胞は約10~30万にまで減少していきます。
月経が始まると原子卵胞は、前胞状卵胞、胞状卵胞、成熟卵胞と180~190日かけて成長します。このうち1~数個の成熟卵胞から卵子が排出されます。しかし多くの卵胞は成長せずに、毎月約1,000個の原子卵胞が体に吸収され消えていきます。
AMHはすべての卵胞から分泌されるのではなく、前胞状卵胞の顆粒膜細胞から分泌されるホルモンです。AMHは原子卵胞から一次卵胞への発育や成熟卵胞の発育に影響しているとされていますので、AMH濃度を検査することで卵巣内に残っている原子卵胞を予測することが可能です。AMH検査は、卵巣内に卵子がどれくらいあるのか(卵巣予備能)を知るための検査であり、自分の卵子が残り何万個と具体的な数が分かるものではありません。

AMH検査と妊娠率

AMH値が低いと妊娠率も低いと思われていることがありますが、これは誤りです。妊娠と年齢の関係性を表すとき「卵子の質」という言葉をよく聞くと思います。女性は一生分の卵子を持って生まれており、生まれてから卵子が増えることはありません。そして体の中で最も古い細胞である原子卵胞は成熟卵胞へ成長し卵子を排卵し、精子と受精します。この受精の時に、年齢の上昇により質が低下した卵子では途中で発生が停止して胚盤胞まで育たなかったりすることがあります。 妊娠するための力のことを「妊孕性」といいますが、この妊孕性は年齢とともに低下します。卵子の質の低下は、時間の経過とともに誰にでも生じる問題です。 AMHは卵巣に残っている卵子の数を推測する指標で、卵子の質ではありません。重要なのは「受精に適した卵子がどれだけ残っているか」を知るという事です。
 

AMHの値

AMH値(卵子の在庫数)は見た目や年齢だけではわかりません。AMH検査をすると、ご自分の数値が正常なのか異常なのかが気になると思いますが、実はAMH値に「基準値」や「正常値」はありません。
AMHは個人差が大きく、20代や30代でもAMH値が高い人もいれば低い人もいます。AMH値を年代別にみると、年齢とともにAMH値は減少する傾向にあり、その統計をとることで平均値(中央値)といわれる統計値は出すことはできます。 個人差が大きいことから正常値という設定はありませんが、同じ年齢層に比べてご自身の卵巣予備能が高いか低いかを判断することは可能です。
年齢 〜27 28 29 30 31 32 33 34 35 36
AMH​​​​ 4.69 4.27 4.14 4.02 3.85 3.54 3.32 3.14 2.62 2.50
 
年齢 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46
AMH 2.27 1.90 1.80 1.47 1.30 1.00 0.72 0.66 0.41 0.30
 
 
AMHは、月経周期に影響されずいつ測ってもよい血液検査です。また、治療などによって計測値が変わることもありません。たとえば排卵誘発剤などの注射をしてどんどん成熟卵胞を作ると卵が早くなくなってしまう、あるいは逆にピルなどのホルモン剤で排卵を止めていれば卵が減らないということはありません。
AMH値を調べておくことで、妊娠や不妊治療のタイムリミットを前もって知っておくことができるともいえます。女性特有の症状を含む健康への配慮や妊活など、今後のライフプラン設計に利用してください。
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