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消化器内科

ピロリ菌の除菌治療について

ピロリ菌とは?

ピロリ菌は、胃の粘膜に生息しているらせんの形をした細菌です。感染経路ははっきりとわかっていませんが、乳幼児期に口から感染すると推測されています。
胃には胃酸があり、通常の細菌は生息できませんが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を使って胃酸を中和し、胃の中で生存しています。ピロリ菌の感染は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発症に関係していることがわかっており、また、ピロリ菌感染が持続すると慢性胃炎の状態となり、加齢とともに胃炎が進行していき、萎縮性胃炎になります。萎縮性胃炎が進行すると、胃がん発生の危険性がより高まります。
 

ピロリ菌の検査方法

ピロリ菌を見つける検査には、胃カメラを用いる検査法(培養法、迅速ウレアーゼ試験、組織鏡検法)、と、胃カメラを用いない検査法(尿素呼気試験、抗体測定検査、糞便中抗原検査)があります。検査結果によっては偽陰性の場合もあり、疑わしい時は複数の検査を行って感染の有無を判断します。
 

除菌治療について

ヘリコバクターピロリ感染症が確定したら、除菌療法を受けるかどうか、医療機関で医師に相談する必要があります。
ピロリ菌は細菌ですので、抗生剤を使用することで高い確率でピロリ菌を除菌することができます。除菌治療には、胃酸の分泌を抑制するお薬と、2種類の抗菌薬の計3つのお薬が用いられます。この3種類のお薬を、1日2回、7日間服用することで、約80%の方は除菌に成功すると報告されています。
 

判定検査(呼気検査)について

除菌薬の服用が終了した後、6-8週間ほど経過してから、ピロリ菌が除菌できたかどうかの検査をする必要があります。中には一度で除菌できない場合もありますので、除菌後の判定検査(呼気検査)を受診し、ピロリ菌の有無を確認しましょう。一次除菌療法で除菌が成功しなかった場合は、2種類の抗菌薬のうち1つを別の薬剤に変えて二次除菌療法を行います。一時除菌療法で除菌ができなかった場合でも、二次除菌療法をきちんと行えば、約95%の方が除菌に成功すると報告されています。
 

除菌療法中の注意点

下痢などの消化器症状、味覚異常、発疹を起こすことがあります。症状が軽度な場合には、自分の判断で飲む量や回数を減らしたりせず、最後まで薬を飲みきってください。ただし、症状が強くなる場合や、発熱、腹痛を伴う下痢、排便に血液が混ざっている場合、明らかな発疹を伴う場合には直ちに薬の内服を中止し、主治医に相談してください。

 

萎縮性胃炎(慢性胃炎)はピロリ除菌後も跡が残るの?

慢性胃炎とは、主にピロリ菌による感染で胃に炎症が起こる病気です。胃に炎症が起こった状態が続くと、胃液や胃酸を分泌する組織が減少して胃の粘膜が萎縮してしまいます。この状態を萎縮性胃炎といいます。萎縮性胃炎の主な原因はピロリ菌ですので、ピロリ菌除菌により大半の萎縮性胃炎は治ります。しかし、胃カメラで見た萎縮性胃炎の所見が治るまでには、少なくとも10年以上の時間が必要となるといわれており、完全には元の状態に戻らない方もいます。
ピロリ菌を除菌することで胃粘膜の炎症は徐々に改善し、胃がんのリスクは軽減しますが、ピロリ菌未感染の方と比較すると、除菌後であっても胃がんのリスクははるかに高く、また、ピロリ菌除菌前の胃炎の状態が進んでいればいるほど、除菌後も胃がんのリスクはより高く残ります。ピロリ菌の除菌が成功して安心し、胃がん検診を受けなくなるケースが多く問題となっていますが、胃がんは早期に発見できれば十分に完治が見込める疾患ですので、定期的な経過観察が重要です。

 

萎縮性胃炎と普通の胃炎は何が違うの?

萎縮性胃炎は組織学的、内視鏡的所見から他の胃炎とは区別されており、その原因はヘリコバクター・ピロリ菌の感染によって起こる慢性的な炎症によるものとされています。
食事、飲酒、喫煙、薬、ストレスなどが原因となる胃炎とは異なります。
また、萎縮性変化を伴った胃粘膜(萎縮性胃炎)からは胃癌の発生リスクが高いことも知られており、その他の胃炎と異なり定期的な検診が必要です。

 

胃食道逆流症(GERD)とは?

胃食道逆流症(GERD)は、主に胃の中の酸が食道へ逆流することにより、胸やけや呑酸などの症状を起こし、また食道の粘膜に炎症を起こす(逆流性食道炎)病気です。
胸が詰まるような痛みを感じたり、のどの違和感や慢性的に咳が持続する患者さんもいます。
近年では、食生活の変化などにより患者さんの数が増加しています。
自覚症状と上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受けることにより診断されます。
生活習慣や食生活をあらためたり、胃酸の分泌を抑える薬を服用することで治療できます。

 

大腸CT検査(CT Colonography)とは?

マルチスライスCTで大腸を撮影し、コンピューター処理によって大腸の三次元画像を作成して大腸の腫瘍性病変を診断する、新しい大腸検査方法です。
検査は短時間(10~15分程度)で済み、痛みなどの苦痛も内視鏡検査と比べて少ないとされています。
前処置も、内視鏡検査と比較し腸管洗浄剤を服用する量が少なくて済みます。
細胞の検査(生検)やポリープ切除などの治療はできませんが、癌やポリープの検出精度は、内視鏡検査に匹敵するとされています(ただし、高さの低い平たい病変や小さなポリープの検出は内視鏡検査に劣るとされています)。
大腸CT検査は体の負担が少ないので、内視鏡検査による痛みが心配な方、腸が長い方、腹部の手術歴から大腸が癒着している方にお勧めします。
 

大腸CT検査の実際例

  • 大腸ポリープ

  • 大腸がん

大腸CT検査はどんな人におすすめ?

  • 高齢で内視鏡検査や下剤服用によるリスクがある方
  • 卵巣嚢腫や手術歴があり検査の痛み、羞恥心や検査がどうしても怖い方
  • 腹部の手術歴があり、腹膜の癒着などで大腸内視鏡が痛く奥までの検査が難しい方
 
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